新品のグローブを買ったのに、子どもがうまく開けない。
キャッチボールをしてもボールが収まらず、「このグローブ、手に合っていないのかな」と心配になることがあります。
もちろん、サイズそのものが合っていない場合もあります。
ただ、新品の革がまだ硬く、子どもの手の動きに馴染んでいないだけかもしれません。
グローブは、買った瞬間に完成している道具ではありません。
手を入れてボールを捕り、練習が終われば泥や汚れを落とす。
必要に応じてオイルを薄く使いながら、少しずつ自分の手に合う形へ変わっていきます。
私自身も、新しいグローブを使い始めたころは何度も手を入れました。
練習後には布で汚れを落とし、革の状態を見ながら手入れする。
その繰り返しの中で、最初は硬かったグローブが少しずつ自分の手に馴染んでいきました。
だから、子どものグローブがなかなか馴染まないときに考えたいのは、「どうすれば早く柔らかくなるか」だけではありません。
そのグローブに、子ども自身がどれくらい触れているか。
今回はそこから考えていきます。
新品グローブは、まだ「その子のグローブ」になっていない
新品のグローブは形こそ出来上がっていますが、まだ使う子どもの手には馴染んでいません。
革が硬いうちは、開いたり閉じたりするだけでも力が必要です。
それでも使い続けていると、革が動き、曲がる場所も少しずつ決まってきます。
親指をどのように動かすのか、小指側をどれくらい使うのか。
ボールが入ったときに収まりやすい場所も、使う本人によって変わってきます。
だから、同じメーカーの同じモデルを二人の子どもが使ったとしても、数か月後まで同じ形になるとは限りません。
どれくらい使ったかだけではなく、どのように手を入れ、どこでボールを捕ってきたかまでグローブに残っていくからです。
新品のグローブは完成品というより、これから使う子どもの手によって仕上がっていく途中の道具。
そう考えると、最初の硬さとも少し付き合いやすくなります。
「手に合わない」と「まだ馴染んでいない」は別に考える
新品のグローブを使いにくそうにしていると、サイズが合っていないのではと心配になることがあります。
実際、手に対して大きすぎたり小さすぎたりするなら、サイズを見直した方がいいでしょう。
ただ、購入した直後から少し硬いという理由だけで、「このグローブは合わなかった」と決めるのは早いかもしれません。
新品なら、最初は思うように閉じないこともあります。
そんなときは、まず子ども自身に手を入れて動かしてもらいます。
何度か開いたり閉じたりしているうちに、硬い場所や動かしやすい部分が少しずつ分かってきます。
キャッチボールをすれば、どこにボールが入ると捕りやすいかも見えてくるでしょう。
本当にサイズが合っていないのか。それとも、まだグローブが育っていないだけなのか。
その違いは、実際に使い続ける中で分かってくることもあります。
そもそもサイズや形が子どもの手に合っているか迷う場合は、「少年野球のグローブ選びで失敗しない!初心者の親が知るべき5つのポイント」も参考にしてみてください。
手入れを全部親がすると、グローブを知る時間まで減ってしまう
少年野球では、道具の手入れを親がしている家庭も多いと思います。
練習が終わればグローブを受け取り、泥を落とし、必要ならオイルを使って次の練習に備える。
忙しい子どもを見ていれば、ついやってあげたくなるでしょう。
もちろん、親が手伝うこと自体に問題はありません。
ただ、毎回すべてを親が済ませてしまうと、子ども自身がグローブに触れる時間まで少なくなります。
ここが少しもったいないところです。
自分で手入れしていると、「前より柔らかくなった」「この部分はまだ硬い」「今日はここに泥がついている」と、小さな変化に気づきます。
それは、毎回使っている本人だからこそ分かる感覚でもあります。
手入れの時間は、道具をきれいにするだけではなく、自分のグローブの状態を知る時間にもなります。
まずは自分で汚れを落とすところから始める
だからといって、小学生にいきなり難しいメンテナンスを任せる必要はありません。
最初は、練習後に自分で泥や汚れを落とすところから始めれば十分です。
乾いた泥をブラシや柔らかい布で落としながら、ときどきグローブへ手を入れてみる。
すると、外から眺めているだけでは分からなかった硬さや、曲がりやすい場所も感じられます。
その日の練習を思い出しながら触っていれば、「今日はこのあたりでよく捕ったな」と気づくこともあるでしょう。
汚れを落としながら手を入れ、開いたり閉じたりしてみる。
特別なことをしなくても、こうした時間の積み重ねが、自分のグローブを知るきっかけになります。
オイルは「たくさん塗れば早く馴染む」ものではない
新品のグローブが硬いと、オイルをたくさん使えば早く柔らかくなるように感じるかもしれません。
でも、ここは急がない方がいいところです。
オイルは革の状態を整えるために使いますが、塗りすぎればグローブが重くなったり、必要以上に柔らかくなったりすることがあります。
毎回たっぷり使うのではなく、革の状態を見ながら必要な量だけ薄く使う。
子どものグローブなら、最初は親が量を見てあげてもいいと思います。
そのうえで、子ども自身にも触らせてみます。
手入れ前の硬さと、オイルを使ったあとの感触。
その違いを覚えていけば、少しずつ自分でもグローブの状態を見られるようになります。
大切なのは、オイルを使うことそのものではありません。
今のグローブに手入れが必要なのか、自分で感じ取れるようになることです。
新品のグローブを早く使いやすくしたい気持ちは分かります。
試合が近ければ、なおさら早く馴染ませたくなるでしょう。
それでも、家庭で無理に柔らかくしすぎる必要はありません。
グローブには、ボールを捕るために残しておきたい形があります。
ただ柔らかければ捕りやすくなるわけではなく、捕球したボールが収まる場所も必要です。
だから、新品のうちは手を入れながら開閉し、キャッチボールや練習で実際にボールを捕っていく。
そうするうちに、その子が捕りやすい場所へ少しずつ形がついてきます。
早く柔らかくすることより、自分が使いやすい形へ育てていく。
その感覚を大切にした方が、長く付き合えるグローブになっていきます。
親は全部やる人ではなく、一緒に覚える人でいい
小学生にグローブの手入れを任せても、最初から上手にできるわけではありません。
汚れが残っていたり、オイルをつけすぎそうになったりすることもあります。
そんなときは、親が横で教えてあげれば十分です。
全部取り上げて代わりに仕上げるのではなく、一緒にやってみる。
最初は汚れ落としを子どもに任せて、オイルの量だけ親が確認する方法でもいいでしょう。
慣れてきたら、少しずつ本人ができる範囲を増やしていきます。
そのうち、練習から帰ってきた子どもが、自分からグローブを出して手入れする日が来るかもしれません。
そこまで来れば、そのグローブはもう「親に買ってもらった道具」だけではありません。
自分で使い、自分で手入れしてきた、自分の野球道具です。
グローブが馴染む時間も、野球が上手くなる時間の一部
新品だったグローブが、いつの間にか自然に閉じるようになる。
手を入れれば、指がいつもの場所に収まり、ボールを捕った瞬間にも以前ほど硬さを感じなくなってきます。
そこまで使えば、買ったばかりのころとはずいぶん違うグローブになっているはずです。
でも、その間に変わったのはグローブだけではありません。
子ども自身も何度もボールを捕り、失敗しながら、また練習してきました。
グローブが手に馴染んでいく時間と、子どもが野球に慣れていく時間は、意外と重なっています。
だから、新品のグローブがすぐに馴染まなくても焦る必要はありません。
自分で手を入れ、使い、汚れたら手入れする。
その繰り返しによって、少しずつ形が変わっていきます。
気がついたころには、
「このグローブじゃないと捕りにくい」
そんな一本になっているかもしれません。
グローブは、買ってもらった日に完成するものではありません。
使う子ども自身が時間をかけながら、自分の手に育てていく。
その過程まで含めて、最初のグローブなのだと思います。


コメント