高校野球を見ていると、球児たちの帽子が独特に型付けされた姿をよく目にします。
なぜ、あんなに浅く被っているの?帽子が浮いてる?帽子の型付けって必要?などと疑問に思う方もいるのではないでしょうか。
高校球児たちにとって帽子にはこだわりがあり、それがパフォーマンスに大きく影響を与えるとしたら、
球児たちにとって、もの凄く大事なモノへと変わります。
私の40年の野球観戦の中で、多くの選手が自分のプレースタイルに合わせて帽子を調整し、最高のパフォーマンスを発揮するための道具として活用しています。
その「こだわり」の理由や帽子がどれほど球児にとって重要なアイテムであるのか?
私自身も高校野球を経験し、帽子の型付けをした当時の思いや考えなどを余す所なくお伝えしたいと思います。
高校野球で帽子を型付けするのは、なぜでしょうか?
高校野球でよく目にする球児たちの異様なほどに型付けられている、あの帽子!
なぜ!あのような型付けされた帽子を被って試合をしているのでしょうか?
帽子のおでこ(額)上部辺りの尖り具合とその後ろの凹み!違和感しかないですよね?
それではなぜ?あのような作られた。型付けされた帽子を被っているのか?
私の経験を交えながら、お話させて頂きたいと思います。
まず初めに高校野球部の帽子を購入した時から型付けの必要性は始まります。
野球部に入部すると、私の高校では練習用と試合用の帽子を2つ購入します。
練習用は、型付けなど必要のないシンプルで昔ながらの帽子で、ツバをAの字に曲げて折って被るとカッコ良さが増すようなタイプの野球帽です。(丸型)
そして試合用の野球帽は、普通に被ると変に型付けられていて、型付けをしないと本当に格好の悪い、だらしない野球帽になります。(角型)
この帽子を購入する以前の問題で、不可抗力によるもの。
球児たちには、何の問題もない。ただの大きめでゆるゆるの帽子を購入させられただけのことです。
学校側に意図があってのことなのか?販売する側に問題?があるのかは分かりません。
よって入部し、ユニフォームを購入したと同時に半強制的に帽子の型付けは必然的に始まります。
帽子をしっかりと自分の頭にフィットさせてから、洗濯バサミで型付けをして行き、帽子のツバを曲げ日差しの具合を確認しつつ、自宅で長期保存。笑
この洗濯バサミの型付けは、試合のある日以外は常に付けて置く状態にすることで、プレー中の視界を確保しやすくします。
激しい動きや走塁の際に帽子がズレ落ちたりするのを防ぐ効果もあるので、常に型崩れしないように洗濯バサミを付けて置く状態です。
高校野球ではチーム全体の統一感が重視され、帽子もその一部になります。
各学校のロゴやカラーに基づいてデザインされた帽子を使用し、その型付けもまた全員が揃えることが求められます。
この統一された見た目は、チームとしての一体感や規律を象徴するもの。
長い歴史の中で受け継がれてきた野球部の伝統的な要素もあり、帽子の型付けもその一環で先輩から後輩へと継承されるものとして扱われます。
実用性や機能性、チームの統一感の理由もありますが、代々受け継がれている伝統的な慣習でもあると言えます。
高校野球の帽子の型付けがダサく見える理由とは?
高校野球の帽子は非常に伝統的なデザインが多く、長い歴史の中で変化の少ないことも原因の一つです。
そして、デザインや機能性優先のスタイル、個性の欠如、時代遅れな感覚もあると言えます。
高校野球の帽子には、学校名やロゴが前面に大きく刺繍され、シンプルな配色が使われます。
このデザインは、近年のファッションの流行やスタイルに敏感な若者にとっては、平凡で面白みがないと感じるのではないでしょうか。
また、ファッション性を重視する現代の帽子とは違い、形を自由にアレンジできません。
プロ野球選手などが見せる「ツバを曲げたスタイル」や「型付けで個性を出す」といった自由さは高校野球では制限されてしまいます。
それにより若い年代の視聴者の間では「ダサい」と感じさせるのかもしれません。
高校野球では全員が同じ形の帽子を被るので、統一されたイメージを保つことが求められます。
さらに、帽子の素材や型自体が古く、時代遅れの印象を与える。
高校野球では規律はもちろんのこと、実用性と耐久性・機能性に重点が置かれているため、デザインが洗練されていないと言えます。
これらの要因が組み合わさり、高校野球の帽子の型付けがダサく見えるのかもしれません。
高校野球で帽子を浮かせて浅い被り方は、いつ始まった?
日本の高校野球で帽子を浮かせて浅く被るスタイルが広まり始めた時期について、正確な年代を特定することはできませんでした。
しかし1950年代ごろから1990年代にかけてプロ野球の影響を受けて定着したことが考えられます。
この時期、多くのプロ野球選手が帽子を浮かせて浅く被っており、特に有名選手がそのスタイルを取ることで、若い世代の高校球児たちもその影響を受けたと言えます。
プロ野球界では、投手や外野手などが浅く帽子を被ることで、視界の確保や見た目の格好良さを追求してきました。
このようなスタイルは、メディアや甲子園での試合を通じて広がり、高校球児たちも真似るようになります。
伝統的な日本の野球文化では、先輩やプロ選手のスタイルを取り入れることが一般的であり、それが後輩たちに影響を与えます。
帽子を浮かせて浅く被るスタイルは一部の強豪校で流行し、それが結果的に甲子園などで注目されると、多くの高校球児に広まって行く。
特に「強豪校の選手たちの被り方」が広まるとそのスタイルは定着し、現在のように一般的な被り方として見られるようになって行きます。
高校野球の帽子のスタイルは、1970年代以降のプロ野球選手の影響や、伝統的な文化の中で自然と広まり、高校野球の中で一般化していったと考えられます。
高校野球の帽子を浮かせて浅く被り始めたのは、いったい誰?
日本の高校野球やプロ野球において、帽子を浮かせて浅く被るスタイルを最初に広めた特定の人物を明確に断定することはできませんでした。
その中でも、プロ野球界での影響力が非常に大きかった選手の一人として、江川卓(えがわすぐる)の名前が挙がります。
江川卓の高校時代を簡単にお話させて頂きますと、栃木県の名門校でもある作新学院高等学校で活躍し、公式戦でのノーヒットノーラン9回、完全試合2回という素晴らしい成績を残した選手です。
昭和の怪物くんと言われるほどの物凄い投手で、作新学院から法政大学に進み、1978年のドラフト会議(江川事件)を経て、読売巨人軍に入団。
江川卓は1970年代から1980年代にかけて活躍した日本のプロ野球選手で、特にその「帽子を浅くかぶる」スタイルが特徴的でした。
江川がプロ入りする前、高校野球や大学野球で注目されていた頃から、彼の帽子の被り方が独特で、若い野球選手たちに大きな影響を与えたと言っても過言ではありません。
これは私の憶測に過ぎませんが、江川卓の帽子の形や被り方を見ると、1957年ごろに高校野球で活躍した我が国、世界のホームラン王!王貞治も高校時代は、ちょこっと乗せたような帽子の被り方をしていたことから江川卓も少し似せた被り方をしたのではないかと考えられます。
彼のスタイルは、甲子園などでも多くの若者に見られ、徐々に浅く被ることが「格好いい」「強い選手の象徴」として広まっていったのではないでしょうか。
江川卓の影響力により、浅く帽子を被るスタイルが高校野球の間で流行し、それを見た高校生たちが真似をするようになった。
特に1980年代から1990年代にかけて、このスタイルは広まり、現在では高校野球やアマチュア野球の選手たちに一般的なスタイルとして定着したのかもしれません。
江川卓の他にも、同時期のプロ野球選手たちが浮かせて浅く帽子を被る姿が増え、甲子園やテレビ中継を通じて全国に広まったことが、現在の帽子の被り方に影響を与えていると言えるのではないでしょうか。
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